栄アートについて — 第一章
金糸帯アートの歴史
かつて「黄金の国ジパング」と呼ばれた日本は、貨幣にも芸術にも、長く金を織り込んできました。金糸帯は、その伝統のなかでもとりわけ精緻なる結晶です。
黄金の国
金を、光へと打ち延ばす
日本の技のなかでも、ことに精緻を極めたのが、金を極薄の箔へと打ち延ばす技でした。その箔を上質な和紙や絹に貼り、きらめく金糸へと裁断する。比類なき繊細さと輝きを宿した素材です。
豪奢な帯へと織り込まれた金糸は、自然から写しとった精緻な意匠や、源氏物語、東海道五十三次といった壮大な物語を、かたちにしてゆきました。
失われゆく技
機が、静まるとき
日本が西洋の影響を深く受け入れるにつれ、着物を身にまとう習わしは衰え、金糸帯への需要もまた失われていきました。やがて、この帯を織る技はほとんど姿を消してしまいます。
いまでは、新たに織られた金帯が呉服店に並ぶことはまれであり、この特別な技を究めた職人の数も大きく減りました。残されたものは限りあるがゆえに、いっそう貴いのです。